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2010年3月16日 (火)

鮭養殖巨大企業が、チリの労働者の人権を侵害し環境を破壊

ARD(ドイツ公共第一テレビ)で、「鮭フィーバー:巨大食品企業に関する衝撃の調査」という番組が報道されました。
http://www.ardmediathek.de/ard/servlet/content/3517136?documentId=3971992
(
ドイツ語)

その男は、故郷のノルウェーでは「大狼」と呼ばれる。
世界で最も裕福な男の一人、John Fredriksenの会社「マリーン・ハーベスト(以下マ社)」は、目のくらむような成長率で、年間一億匹以上の鮭をチリとノルウェーで養殖し世界中で消費されている。
ドイツ公共放送局の一つ、WDR(西部ドイツ放送)の二人のジャーナリストが一年以上、この「大狼」を執拗に追い続けた衝撃の調査結果は、エコ・スリラーとして心を捉えて離さない・・・。


まずは、予備知識として、インターネット新聞JanJanの関連記事をお読みください。。その後、テレビ番組の内容を紹介します。

JanJanの記事http://www.news.janjan.jp/world/0807/0807081542/1.php
サケ養殖でノルウェー「マリーン・ハーベスト」社、チリやカナダの現地から非難される
IPSJapan2008/07/09
サケの養殖によって、環境被害や労働者への人権侵害を引きおこしているとして、ノルウェーの漁業会社「マリーン・ハーベスト」社がチリやカナダの現地から批判されている。マ社はチリで最大、世界で第2位のサケ養殖会社である――

【オスロIPS=タルジェイ・キッド・オルセン、7月2日】

 6月には、マ社の株主総会に合わせてチリ・カナダから活動家らがオスロを訪れた。チリの活動家らによれば、マ社のサケ養殖によりさまざまな被害が発生しているという。

 そのひとつがサケの伝染性貧血症(ISAV)だ。昨年7月に全国21の養殖場で貧血症が大発生したが、そのうち13ヶ所がマ社とセルマク社(いずれもノルウェー)によって運営されている。

 マ社はこの問題の責任を労働者に転嫁した。2ヶ所の養殖場と8つの養殖センターを閉鎖するかわりに、600人の労働者を解雇し1200人の労働者をレイオフにしたのである。これは、チリにおけるマ社従業員の25%にあたる。

 根本的な原因は、マ社の養殖場にはサケが多すぎるということだ。ノルウェーでは1000mの養殖場にいる数のサケが、チリでは300mの間にひしめいている。

 しかもマ社は、貧血症対策として大量の抗生物質をサケに投与している。『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、マ社はノルウェーの場合よりも70~300倍
(ドイツのテレビ番組では800倍)

もの抗生物質を投与しているという。こうしてサケに集積した抗生物質はそれを食べる人体にも影響を与えることになる。抗生物質は摂りすぎると疾病への耐性を失わせる。

 マ社は他に、カナダとスコットランドにおいても、サケ養殖が環境に与える悪影響に関して地元からの反対にあっている。しかし、マ社は、部分的に非を認める一方で、活動家らは反サケ養殖を掲げる米国のロビイストに担がれているに過ぎないとして、まともに批判に応えようとはしていない。ノルウェー企業によるサケ養殖への反対運動について報告する。(原文へ
翻訳/サマリー=山口響/武原真一(IPS Japan )<転載ここまで>

ドイツのテレビ番組の内容から(順不同)


チリ南部の自然の楽園。年間1億匹の鮭の養殖場では、区画当たり欧州の2倍の鮭がひしめいている。海底は大量のゴミだらけで、海中生物は死ぬ。生物多様性は見られず、鮭だけが安くて大量にある。

マ社の15千人の従業員の一人、チリの潜水夫の話。40mから、時々60mの深さまで潜る。
「潜って病気の鮭を除去しなければならない。ひどい臭いだが、防護服も何もない」。
「残留抗生物質規制のため、アメリカには輸出できない。・・・市場で死んだ鮭はコンテナに積めて運ばれるが、途中で盗まれ1~2日後にはまた市場に並ぶ。だから、自分では絶対に鮭を買わない」
「40m潜るためには500mの減圧室が必要だが、会社は高くつくので作らない。コスト削減のため、昨年だけで18人の潜水夫が死んだ。潜水夫が死ぬほうが安上がりなのだ」
「家族は、いつか私が家に戻らない日がくることを覚悟しておかねばならない」


10
年間に死亡した潜水夫は、チリで100人、ノルウェーでは1人だけ。
2007
8月、ライセンスを持っていなかった潜水夫が40m潜って網の修理中に死亡。マ社は、20mだったと言った。安全管理の欠如として、2000ユーロの罰金のみ。


チリの猟師
「他の魚も貝も死んだ。鮭養殖企業は、我々の敵だ」


大狼の双子の娘は、いずれ50100億ユーロを相続するだろう。
二人のノルウェー人ジャーナリストが大狼に会い、ルポを書かなければ、1人に100万ドルずつを払うと言われたが、断って本を書いた。


マ社は、グリーンでエコな企業として有名。ノルウェーでは模範的だが、チリの企業はエコロジーの墓場。


鮭の伝染性貧血症のため、チリではノルウェーの800倍の抗生物質を投与する。卵そのものが既に化学物質。鮭のストレスのための精神安定剤も投与。合成着色料、重金属にも汚染されている。


マ社は、新しいグリーンなイメージのために、国際環境NGO「WWF」と2008年に契約を結び、WWFは多額の資金をもらっている。WWFのスタッフは、「エコな企業に変えるために協力する、多額の資金をもらっても批判できる」と強調するが、これまでにWWFがチリの惨状を訴え改善しようという兆候はない。


伝染性貧血症で死んだ鮭が、家畜の飼料に。


1
kgの養殖鮭のために、5kgの魚を餌にする。その大量の魚の多くは稚魚であり、次世代が生まれなくなる。「我々は、漁師ではなく企業の奴隷だ」死んだ魚も鮭の餌に。


海洋生物学者
「死んだ惑星に、企業も産業も成り立たない。私たちも自然の一部ということを忘れている」


「鮭の養殖場に面した海岸で、塩素処理した廃水を畜殺場から直接海に流す」という告発があった。現場にいると、作業責任者が「撮影許可がなければ、この海岸はただ通り過ぎることしかできない」と、苦情を言いにきた。塩素処理廃水垂れ流しの証拠撮影後、取材者たちはマ社との対話は不可能になった。


見渡す限り貝に溢れた島。50万匹の鮭が酸素不足で腐敗したため、この島の貝はほとんど死に絶えた。貝の採取ができなくなった漁師。「チリでは、鮭のほうが人間よりも価値がある。彼らは我々の海を殺した」


大狼に最後に一つだけ、チリで取材してきた自然と人間の惨事について質問しても、「現地が決めたことには関与していない」
責任をとらないのかと聞かれても、損害を被ったことを悔やむだけだった。

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コメント

ecoyokoさん、こんにちは^^
(゚O゚;アッ!記事だったかな~TVだったかな~見た記憶があります(^_^;)
何気にこれ笑えませんでしたね~^^;
実際、日本も輸入してますから・・・実態を知るとね~(--;)
いつかは自然からのいえいえ地球からのしっぺ返しがくるんでしょうね~><;
表面だけの環境保護って言ってもしょうがありませんね><;

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