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2010年1月 7日 (木)

ネアンデルタール博物館

ずっと行きたいと思っていた「ネアンデルタール博物館」に行ってきました。
ベルギーからドイツに行くといっても、アウトバーン(高速道路)のおかげで1時間半ほどなので、とても便利です。

館内は、ドイツ政府がボン市に作った博物館「歴史の家」と同様、ゆるやかなスロープで上に歩いていく造りでした。これからの博物館や美術館は、このようなバリアフリーの建築構造が主流になっていくのではないかと思います。

入場料は、家族は20%割引で、大人2人子ども2人で常設展と特設展合わせて23ユーロ余り(約3000円)、ケルンの動物園の大人一人分しかかかりませんでした。常設展のみの家族一年券は40ユーロなので、何度も行きたい人にはお得です。

自家用車ではなく、交通公共機関を使って来場した人は、さらに1ユーロ割引してもらえます。これも、これまでに世界で一番温室効果ガスを削減したドイツの政策の一環でしょう。
ちなみに、ドイツのオペラやコンサート、サッカーの入場券は、近郊から会場までの公共交通機関に往復無料で乗れるようになっています。

入場料を払ったらすぐにイヤホンを貸してくれ、なんと個包装の爪楊枝を何本かくれました。袋には「歯ブラシの起源 ネアンデルタール博物館」と書いてあり、レジの女性は「ネアンデルタール人は歯の手入れができなかったというジョークよ」と言いました。
もっとも、かなり最後のほうの壁の説明には、ネアンデルタール人が歯磨きをしていたらしいと書いてあったのですが・・・?

展示の前の手すりや壁のあちこちに、イヤホン用の穴があいており、説明を聴きながら進んでいったのですが、とにかく、展示のアイディアと工夫に感心するばかりでした。

例えば、ネアンデルタール人の老婆と子どもの蝋人形の前で二人の会話をイヤホンで聞くと、最後に「ネアンデルタール人は、現代の私たちと変わらないくらい明瞭に話せていたようだ」という説明がありました。

とても全部は説明しきれないので、いちばん印象に残った「攻撃性」というタイトルの展示について。

床には白骨が散らばっており、その上のモニターに映像が映し出されます。
6500年くらい前のおそらく最古の「集団虐殺」による骨が、ドイツで発見されました。後頭部に斧がささったままのものなど、数十人の大人も子どももすべてに武器で殺された形跡があったのです。

この発掘から、人間の「攻撃性」という本能について問いかける映像が始まります。

大きな樹の幹を輪切りにした椅子(館内のあちこちに置いてあります)に座って、モニターを観ていると、掴みかかって争う2匹のネズミ、周りの子たちの頭をプラスティックのシャベルで次々と叩いて歩く2~3歳位の男の子、ラグビー(たぶん)で次々と上から覆いかぶさられて悲鳴をあげる選手・・・そのうち、ヒトラーやホロコースト、世界貿易センタ ービルに飛行機が激突しビルが崩壊する「9.11」の映像も出てきました。

幼稚園児を連れたお母さんは、息子に「ここは見ちゃダメよ」と言って通り過ぎていきました。でも、私は6歳と10歳の子どもたちが見ているのをそのままにしておきました。もっとも、6歳の娘は、椅子の上で動き回ってばかりで、ちゃんと見てはいないようでしたが。息子はただ黙って見続け、その後も話題にしませんでした。

話は逸れますが、ドイツはナチスの教訓から、戦後一貫して歴史と正面から向き合い過去と闘ってきました。

一例として、ドイツ政府は、ドイツの近・現代史を剥き出しに曝け出しているといっても過言ではないような「歴史の家」という博物館をつくり、国内外からの来館者に入場料無料で開放しています。

私は、フランス人をそこに何人か連れて行ったことがありますが、皆そのようなドイツの姿勢をとても高く評価していました。あれほど戦争を続けてきた仏独が、今日のような堅い友好関係を築くようになるまでには、戦後のドイツの政治家の絶え間ない努力があったのです。

そこで思い出されるのが、
リヒャート・フォン・ヴァイツゼッカー元大統領が1985年、ドイツ敗戦四十周年記念に国会で演説した「荒れ野の四〇年」です。
全世界に感動を与え20以上の言語に翻訳され、日本でも特に「過去に目を閉ざすものは現在にも盲目となる」という一節で有名になりました。

この演説からは、
「非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすい」と、同じ過ちを繰り返さぬために歴史の負の遺産も心に刻む重要さが伝わってきます。
「先人たちは重い遺産を残したが、その結果とかかわるわれわれすべては過去を受け入れねばならず、責任を求められている」と、
若い世代の責任をも訴えています。

こうして、元大統領の演説にも代表されるように
「過去の過ちを決して繰り返さない」というドイツ人の固い決意は、
戦後ずっと近隣諸国との強い信頼関係を築いてきたのです。

閑話休題。

「人間の攻撃性」をテーマにした展示と映像を見ながら、そのようなドイツの戦後史が、人類の歴史に関する博物館の在り方にも反映されているような気がしたのでした。

展示の最後は「砂場」です。
ここに、刷毛が何本も置いてあり、子どもたちが刷毛で砂をどけていくうちに、バラバラの人骨(もちろん模型)や化石らしき石が現われてくるという仕組みです。
娘は、ここが一番気に入ったようでした。

最後に、博物館の英語版のHPはこちら
http://www.neanderthal.de/en/home/index.html

それから、日経ビジネスオンラインに「常識の源流」探訪を連載されている伊藤乾氏が、「ネアンデルタール博物館」を訪ねて書かれた記事も参考までに・・・館内の写真も見られます。
マルクスとネアンデルタール人の出会いhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080825/168760/
人類の源流を訪ねて
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080901/169372/?P=1

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教育」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
人間の攻撃性には様々な機会に感じることができ、
はたまたそれは兄弟げんかであったり、親子喧嘩であったり、
道端で繰り広げられる見しらぬ者同士の
いさかいであったりします。
また、言葉の暴力という形でも人の攻撃性を
改めて感じる機会もあります。

小林正観さんは「ありがとう」という感謝の言葉が
人間関係や自分までを変えてくれると
講演会や著書で述べられていますが
(会社のブログにも書きました)
人を攻撃する前に、人に腰を折る姿勢から
見直さなければいけないと思いました。
でも、人に対して腰を折るというのは
日本人だけなのかもしれません。
人は動物であったときから攻撃して生きてきたんでしょうね。

明けましておめでとう〜。
そちらは寒いですか?

>同じ過ちを繰り返さぬために歴史の負の遺産も心に刻む重要さ
これは重要ですよね。
親によっては攻撃的な映像とか子供に見せたがらない人もいるけれど、
どうなんでしょうねえ。攻撃的なものに触れた子供は攻撃的になるのかどうなのか。そのあたりの、確かな研究結果って、まだ出ていませんよね。

*緋色さん、

>でも、人に対して腰を折るというのは、日本人だけなのかもしれません。

解釈にもよると思いますが、日本人だけとは思いません。そう言い切れるほど、他の国民をよく知っているわけではないし・・・。


*makikoさん、

寒くて雪に埋もれています。

「息子を犯罪者にしない11の方法」、「そしてぼくは銃口を向けた」、「銃弾の向こう側」

攻撃性は貴女の著書のテーマでもありますね。

おはようございます^^
・・・・・そ、その前の挨拶まだでしたね~(;´▽`A``アセアセ
すいませんm(_ _)m
明けましておめでとうございます^^
今年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m

( ̄~ ̄;) ウーン人の攻撃性ですか~(^_^;)
人と言ってもやっぱり動物ですからね~攻撃性はだれでも持っていると思いますね~^^;
人はその攻撃性を感情で抑えそれでどうにか「人」って感じでしょうかね~^^;

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