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2010年1月13日 (水)

ドイツの「緑の党」30周年

30年前の1月12、13日にドイツの「緑の党」の結成大会が開かれました。

この数日、ドイツのマスメディアは、この環境政党の30年の歩みを伝える報道で溢れています。

原発建設、軍拡競争、森林の死、差別と監視・・・70年代後半に既存の政党から相手にされない問題を政治課題として取り組むために、「緑の党」が生まれました。
政治課題の欠落部分を埋めるために立ち上がったのは、環境保護団体や平和・反原発活動家、第三世界のためのグループ、女性運動家たちです。

地方自治体や連邦州、欧州議会などに進出しながら、1983年には初めて日本の衆議院に相当する連邦議会で、議席を獲得しました。

ドイツでは、選挙の際に比例票として投じられた有効票の5%以上を獲得するか、党の選挙区候補者を3名以上当選させた場合に限って、政党が議席を得ることができます(「5%条項」)。小党乱立を避け、政権担当能力のある多数派の出現を可能にすることが目的です。この5%条項のおかげで、ナチスの再来をめざすような極右政党は議席を獲得できていないのです。

1998年の政権交代では、ついに連邦政府に環境大臣や外務大臣を送り込むまでにいたりました。その後、政権からははずれましたが、2009年の連邦議会選挙では、初めて10%以上の票を獲得しています。

2002年のドイツ国内の世論調査では、「連邦政府の環境政策はこれ以上必要ない」と考えている人は3%しかおらず、65%は「政治家は更に環境保全に取り組むべきだ」という意見でした。環境政策を重視する中道左派の社会民主党と緑の党の連立政権が誕生して4年経ってもまだ、ドイツの有権者たちは「もっと環境政策を」と要求していたのです。

昨年の政権交代で、ドイツ連邦政府はかなり保守系にシフトしましたが、有権者の環境意識がこれほど高くなった以上、いかに保守政党とはいえ、環境政策をないがしろにすることはできなくなっています。

経済界寄りの保守政権誕生で懸念された脱・脱原発ですが、稼動年数の延長はあっても、脱原発を覆すことはもはやドイツでは不可能なのです。なにしろ昨年4月の世論調査では、66%が「原発からの撤退時期は適切、または前倒しするべき」(20068月には62%)と答えており、「撤退を遅らせるべき」は12%、「撤退に反対」は18%しかいませんでした。すなわち、有権者は必ずしも原発の運転期間延長を支持して政権を選んだとはいえないのです。

一方、1960年代から70年代の日本でも、激化する公害問題に取り組まぬ政府に先駆けて、厳しい公害防止条例を定めた革新自治体を生み出す原動力となった多くの市民がいました。しかし、残念ながらドイツのような環境政党を生み出すにはいたりませんでした。

1990年代の終わりごろ、「新党さきがけ」が環境政党として再出発をすることになり、後の代表中村敦夫元参議院議員は、2002年に「みどりの会議」に改称して次の参議院選挙で議席の獲得を目指しましたがかなわず、2004年に解散しました。「みどりのテーブル」に引き継がれた活動は、現在は「みどりの未来
http://greens.gr.jp/」となっているようです。
「みどりの会議」の参議院選では、有権者にアピールするために各自100枚の葉書きを出す応援活動があり、私も周囲の人たちの協力をお願いして、100枚出しました。建設業界の親しい友人からは、「初めて自民党以外に投票した」と嬉しい返事がきたのですが、残念ながら一人も議席を獲得できませんでした。

選挙より前に、「虹とみどり」という地方自治体議員のネットワーク(現・「自治体議員政策情報センター 虹とみどり」 http://www.greens.gr.jp/jouhou/index.html)の会合に出てみたことがあります。そこの懇親会で、中村敦夫さんに「日本ではなぜドイツのような環境政党が生まれないのでしょうか」と尋ねたら、「日本とドイツでは、国民の民度が違いすぎる」とおっしゃいました。

民度となると、日独の戦後民主主義の比較をしたくなり際限がなくなるので、ひとまず置いといて、グリーン度の一つの比較例だけ挙げてみます。

2005年2月に日本の緑の党として設立された「みどりのテーブル」の会員(党員?)数は、2006年11月時点で520名でした。

ドイツの緑の党の党員数は、2006年末時点で44,687名でした。

ちなみに、ドイツの人口は日本の約3分の2です。

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コメント

誕生日メールありがとうございました♪
誕生日は大雪と格闘し(2m以上降りました!)翌日から胃腸風邪でダウンしました(笑)
ようやく復帰出来そうです♪
日本では通常国会が開催されましたが、冒頭からくだらない金絡みの質問ばかりでへきへきします。
狸も鳩も辞めるべきです。
理由は「道義的責任」で結構。
こんなことに「法的責任」を持ち出しペラペラと言い訳を言う人物はおよそ国家のリーダーとしての資格と品格に欠けます。
こんな中昨日はJALが経営破たん・・・
負債額は2兆3千億。
もとは国営会社。
複雑に利害が絡み合う複数の組合。
何度も変わる経営陣。
経営不振がささやかれて10年。
それでも給料は平均八百万。
何の自助作用もなさないでこの会社は潰れました。
そしてまた同じことを繰り返そうとしている。
この十数年前までは世界一の旅客量を誇ったフラッグシップが経営破たん。
まさに日本の縮図がここにあります。
世界中どこの空港に行ってもJALの翼を見るとほっとしたのはもう過去のことですね。
今はぞっとするかもしれません(笑)
<ドイツは環境問題に関する豊富な質の高い情報を得てきたためです。
大切ですよね。
これだけマスコミを通じて情報が入り込めば、その報道姿勢や内容によって国民の思考は大きく変わります。
この国のマスメディアの低落ぶりには目を覆います。
欧州発で大いに情報を流して下さい♪

ecoyokoさん、こんばんは^^
( ̄~ ̄;) ウーン今、日本国での政治の話は・・・┐(´ー)┌フッ
なんせ政治家とお金の話ばかりですからね~(--;)
五十いくつにもなって母親からお小遣いを月に1500万もらっている政治家が居ると思えば4億ものお金を余り知らないって平然と言っている政治家が居るしまつ┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~
そしてそんな人が日本のトップ1,2に居るんですからね~・・・それでも政治の方がしっかりしていれば良いんでしょうけど・・・そちらもね~その周りに居る政治家も媚びてばかりで文句の1つも言えない状況・・・自分の状況を守るのが精一杯の政治家ばかり、環境問題の「環」の字もありません(ノ_-;)ハア…
環境問題を語っている政治家の後ろは相変わらず燃費が悪そうな車ばかり・・・そんな所で今のハイブリッド車の話や公共機関の利用の話をしてもね~説得力「ゼロ」です・・・そしてそれを「おかしい」って思わない政治家が何と多いことか・・・
政権が変っても政治家が変りませんからね~余り期待をしてなかったんですけどここまでとは・・・(--;)
日本国が自己破産するのも時間の問題かも?

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