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2008年12月15日 (月)

日本は、京都議定書の目標を達成できません!

国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)は、すでに14回目を迎えましたが、またもや重要議題は持ち越されました。


この会議に先立つ11月末にドイツ環境省は、2007年の温室効果ガス排出量は22.4%だったので、京都議定書の削減目標値(1990年度比で2012年までに21%)をすでに達成できたと発表しました。そしてもうすでに、2020年までに40%削減を目指しています。


一方、削減どころか増加の一途をたどる日本では、90年度比で6%の目標に対し、実際は9.3%削減しなければならないそうです。そして、相変わらず「日本はとっくに省エネ技術を確立しているので、これ以上省エネできない」という言い訳や、「ドイツやEUは、旧東欧の古い発電所など改善の余地が大きいので、削減できてあたりまえだ」という不公平論をよく見かけます。


百歩譲ってそれらを考慮したとして、ドイツの22.4%削減に対し、日本の3.3%増加を正当化できるでしょうか。


私自身、地球が温暖化するだけとは限らないので、ドイツ語の「気候保全」という言葉を使いたいということは以前にも述べました。日本でいう地球温暖化に関する賛否両論はいろいろありますが、私は特にどの論も支持していません。


重要なのは、ドイツの削減例にみられるように、科学的にすべてが解明されるまで手をこまぬいているのではなく、とりあえずは温室効果ガスを削減するという目標のもとで、再生可能エネルギーの利用率を高めるとか、旧式の火力発電所の効率を高めるとか、住居や公共建物の断熱性を高めるとか、化石燃料の浪費を抑制するために社会が変革されてきたことだと考えています。これは、次世代以降のために地球環境をこれ以上悪化させないようリオの国連地球環境会議で合意された「持続可能な開発」の過程です。


上の両国の数字の差は、このような取り組みをしたかしなかったかの結果であるわけです。

 

日本では、後述するような縦割りの省庁の縄張り争いから、社会を変革することはできず、どうしても個人の生活改善をアピールしたり、省エネ製品購入などの技術面に一方的に頼る政策ばかりです。

 

ドイツでは、それら技術革新や個人の意識の変革と並行して、社会の変革も進めてきたのです。これは、現場を知らない霞ヶ関の補助金事業ではできません。ドイツでは、政治主導であらゆるデータ比較やシミュレーションなどが駆使されたのです。


 

ここで、このような気候変動政策の背景にある日本とドイツの大きな違いの原因である、官僚主導政治主導かという違いについてみたいと思います。


まず、ドイツ政府は1990年6月の閣議で「各省の枠を超えた二酸化炭素削減ワーキンググループ(IMA)」の設置を決定しました(ドイツの閣議は、日本のような単なるサイン会ではありません)。以来、連邦環境省がまとめ役となり、エネルギー供給、運輸、建築物、新技術、農林業などの各分野において、所管の連邦各省が座長として、温室効果ガス削減対策に取り組んできました。


これまでにすでに6回の報告書が出されており、毎回それまでの経過を検証し、効果のあった対策、新たな対策の必要な分野などが新たなプログラムに盛り込まれてきました。これらの報告書は希望する市民に無料で配布されるので、私も以前連邦環境省でもらったことがあります。


何度も強調しますが、ドイツの官僚は、国民に選挙で選ばれた政治家による国会決議なり閣議決定なりにのっとって、省庁横断で取り組んでいるのです。


 

それでは、官僚主導の日本はどうでしょうか。以下引用が多くなりますが、わかりやすいと思いますので最後までおつきあいください。


まずは、ドイツが省庁横断ワーキンググループを設置した頃の様子です。青木正久元環境庁長官の著書(1994年)から、自民党地球環境問題特別委員会の様子を引用します。


「地球環境関係は各省庁にまたがっており、関係するところは17省庁に及ぶ。中心はもちろん環境庁で、ここは『進め、進め』の一本槍。でもこの役所は新設されてまだ20年の調整庁で、しかも幹部は厚生、大蔵、農水省などからの寄せ集め。役所は30年経たないと独り立ちできないといわれている。環境庁の一番反対側にいるのが通産省。環境の本質は反体制だ。反大企業でもある。ライフスタイルを変え、産業構造を再検討することが、環境問題の究極である。自民党がややもすれば“環境”に不熱心な原因はここにある。新規の金を出すことを極端に嫌う大蔵省も通産に近い。環境庁と通産省の間にいて、いつもウロウロしているのが外務省だろう。両者の言い分を聞いた上、さらにアメリカの顔色を窺うのだから面倒なのだ」(引用ここまで)


それでは、このような状況は、京都議定書発効後世紀が変わり、改善されたのでしょうか?

 

河野太郎衆議院議員のメルマガ「ごまめの歯ぎしり」からいくつか時系列で転載させていただきます。情報源が偏っているというご指摘もあるかもしれませんが、現職の国会議員が発信し、わかりやすい内容であることを重視しました。


1997年12月の京都議定書採択後10年以上経っても、相変わらずこんな有様です(赤字は筆者による)。

 


まずは 2006年11月16日号


(前略)もう一つ腹が立ったのは今日の朝の経済産業部会。
まず、環境税に関して、経済産業省が環境省との内輪もめをそのま
ま部会に持ってくる。しかも、環境税に反対する業界団体をずらり
と並べて、陳情させる。
このままいけば京都議定書の目標達成は難しい。ロシアに多額の金
を払って排出権を買うという選択をするのか、議定書から脱退する
のかということになりかねないのに、担当する役所の一つが国益を
考えず、自分の役所のことだけを考える。
まず、政府でどうやって議定書の目標を達成するのかという考え方
を統一し、それを外に出すべきだ。政府案もなく、ただ、ただ役所
の利益を守るために与党を利用する。
利用される方もされる方だけ
ど。
経済産業省に、役所のことだけ考えるのではなく、国のことを考え
て政府の統一した考えを持ってくるべきだと
主張すると、なんと今
度は部会長が、最近は環境省と経産省も昔と違って協調しています
などと
..。そうじゃないだろ。そんな建前をいっている時は終わ
っている。
さらにその後、道路特定財源に関して、業界団体から一般財源化反
対の主張を言わせて、経産省もこれから考え方をまとめます、など
と役所がいけしゃあしゃあとほざく。
業界と役所が一体となって、さらに族議員がそれに乗っかって、一
般財源化反対を訴えるという構図を作りに来ただけじゃないか。

ぶちきれそうになったが、消費税を上げずに財政を均衡させようと
するならば、支出を徹底的に切りつめるか、特定財源を一般財源化
し、優先順位の高いものに充てていく必要がある。外に向かって消
費税引き上げは最小限にと言っておきながら、道路特定財源を一般
財源化することに反対するようなことをよもや言う議員はいないだ
ろうと発言する。
同期の代議士が、太郎ちゃんの言うとおりだ、この部会は議員がこ
び売りに来ているだけだ、と。そう、こういう部会をやっていると
自民党の議員が腐っていく。

 

 

その4ヵ月後 2007年3月14日号


今朝の自民党の環境調査会、地球環境委員会、環境部会の合同会
議で、経済産業省や国土交通省から温暖化対策の進捗状況につい
ての説明がある。
中には順調に達成しているものもあり、なかにはかなり目標達成
が難しいものもあるが、それらを考慮して、京都議定書の目標達
成はできるのか。
で、どうなのよと環境省に尋ねると、答えはかなり難しい。
ああ、やっぱり。
どれぐらい足りないかと聞くと、かなり。二桁になるかという問
いには、計算中で何ともいえない。
やっぱり京都議定書の目標達成はほぼできない。
去年、一昨年に、このままでは相当難しいぞという前提で、どう
するのかという議論をはじめるべきだった。
議定書の目標を達成できないということが固まってきた以上、こ
れから先の議論は、ではどうするかという議論にしなければなら
ない。
排出権なのか、しらばっくれるのか、罰金払うのか。
次の期間はどうするのか。
各種の施策を義務化していくのか。
地球を壊してしまっては何にもならない。
もちろん発展途上国やアメリカを入れなければならないが、日本
としての考えを出していかないと。

 


その10ヵ月後 2008年1月17日号


ガソリン税の議論がいろいろと取りざたされる中で、国土交通省
の官僚の火事場泥棒ぶりに驚く。
ガソリン税は道路財源だが、公共事業がシーリングで減額される
ので、道路事業に必要な金額以上のガソリン税については一般財
源化するという閣議決定が安倍内閣で行われた。今回の議論はそ
れがベースだ。

が、今回提出される法案はそうなっていない。
法案によると、まず、ガソリン税の税収は道路整備費に充てなけ
ればならない。
ただし、税収が道路整備費を上回る場合には、全額を道路整備に
充当しなくてよい。(閣議決定の通り)
ところが国土交通省は、税収が上回って道路整備に充てられなか
った分は、翌年度以降の道路整備に使ってもよい、という一文を
入れようとしている。
バカいってんじゃない。

つまり一般財源にするはずの部分を翌年に回していって道路に使
おうというのだ。あきらかに閣議決定をうやむやにしようとして
いるではないか。
みんながまじめに地方の税収をどうするのかとか、サミットのホ
スト国が京都議定書の目標も達成できないのにガソリン税を下げ
てそれを助長してよいのかとか、
真剣に議論しようとしていると
きに、国土交通省の官僚は、これまでの既得権を守るためにこっ
そりと(こっちが質問するまで、この一文については役所側は説
明しない)、小細工をしようとしている
。これじゃあ、まともな
議論なんかあほらしくなってしまう。
やっぱり、大臣、副大臣、政務官の政治家がもうちょっとしっか
り役所を監督しなければ。

 


その2ヵ月後 2008年3月4日号


我が国が京都議定書の目標を達成できないということを環境省が、
正式に認めた。

今朝の自民党の政調審議会のなかで、地球温暖化対策の推進に関す
る法律の改正案が審議され、そのなかで、京都議定書の目標は達成
できず、足りない分を排出権の購入という形で埋め合わせるという
ことを環境省が正式に認め、
今後、世の中に対して、目標を達成で
きないので、税金で排出権を買わざるを得ないということを積極的
に広報していくことになった。

もともと政府の対策では京都メカニズムを使って、2000万トン
の炭素の排出削減をやることになっていた。それが基準年に比べて
1.6%の排出削減にあたる。

今日の時点で、環境省は、少なくともあと8000万トンは未達に
なり、その分の排出権の購入を何らかの形で進めざるを得ないと説
明した。
それは結局のところ、政府の計画では京都議定書の目標が達成でき
ないということであり、政策の失敗であり
、かつ、税金を支払って
紙切れ一枚を買ってくるということになり、納税者の理解をきちん
と得られるように説明に努めるべきではないかという質問に対し、
きちんと世の中に対して、未達するので排出権を金で買うというこ
とを説明すると環境省が説明した。

かなり前から、この状況では京都議定書の目標を達成できないので
はないかという指摘に対し、環境省も経産省も達成できると強弁し
てきたが、ここに来て、とうとうギブアップした。

政府が購入する排出権は炭素換算一億トンに相当し、現時点の相場
でも二千億円必要だ。環境省の中には、最終的には兆の単位になる
だろうという予測もあり、兆の単位で、紙切れを買うために税金を
投入せざるを得なくなる可能性が高い。

それならば、もっとまじめに削減のための対策に金を使うか、議定
書から脱退することも考えるのか、あるいはいくらになるかわから
ないけれど排出権をかって帳尻をあわせるのかという議論が必要で
はないか。

同じ政調会で、埋蔵金の調査の報告も行われた。
埋蔵金の定義がない中での議論だが、結論として、埋蔵金を無駄と
定義するならば、埋蔵金はあるという結論だ。
ただし、民主党が言っているような巨額の埋蔵金は、なさそうだ。

 


その翌日 2008年3月5日号


メディアが京都議定書未達の件で、環境省の幹部クラスに確認した
ところ、さまざまなリアクションがあるようだ。

一番ひどいのは、いや、一億トンというのは既定路線です、とまだ
言っているやつで、じゃあ、政審の場で局長が嘘をついたのかとい
うことになる。(京都メカニズムの二千万トンを五年で一億トンと
いえないこともないが、それでは、議定書目標未達なので税金投入
の理解をいただけるようにしっかり広報するという局長答弁とは食
い違ってくる!)

別な幹部は、政府が目標達成できますと強弁しておいて、サミット
直前の6月の見直しで環境省がやっぱり目標達成はできませんとい
うとインパクトがでかいので、今から、やっぱりだめですというこ
とをにじみ出す...。
そんなもん、京都議定書の目標達成できないなんて、二年前からち
またにあふれ出ている!!

経産省が盛んに宣伝している自主行動計画の目標引き上げとやらも
すでに達成された目標ばかりで、なかにはその目標だと排出量が増
やせるというものまで...。
目標の引き上げは毎年できるようにしようとしている業界もあるよ
うで、しかも経産省も知ってのことだと怒る環境省幹部も。

だからインチキはやめて、きちんと対応するべきではないか。

こんないい加減な政府の対応のあとで、やはり目標達成はできない
ので、税金で排出権という紙切れを一枚買ってきますなどというこ
とは、納税者の理解を得られない。
だって、ン兆円という額になる可能性もあるのだから。
それならば議定書脱退という声が強まってもおかしくはない。

6月にだめですというならば、今、できないというべきではないで
すか、鴨下大臣!?

ちなみに、昨日の政審では、電力会社が買ってくる排出権について
は、電力会社の責任でやるべきもので、消費者に転嫁されることが
ないようにという注意付きでの承認だ。
きちんと電力会社が自分の責任で対処するかどうかを見守りたい。

 


その2ヵ月後  2008年5月2日号


租税特別措置法案の再議決。ガソリン税も再び税率引き上げ。

ガソリン税の引き上げにはいろいろご批判もあるだろうが、京都
議定書の目標達成からほど遠い日本としては、離脱を決めない限
り、ガソリン税の引き上げはやむを得ない。

政府はいまだに京都議定書の目標達成はできると強弁するが、現
実はなかなかそうはいかない。
もちろん京都議定書の目標は、ガソリン税や軽油引取税の税率引
き上げだけで達成できるものではない。温暖化ガスの排出削減の
ためのあらゆる措置が必要だ。
一刻も早く、政府は蓋然性の高い現状分析と見通しを発表し、目
標達成のための対策を打つのか、排出権購入で逃げるのか、議定
書からの離脱をするのかという議論を始めなければならない。

ガソリン税や軽油引取税の税率引き上げは、まだ、税収という対
価が入ってくるが、排出権の購入では、手に入るのは紙切れ一枚
しかない。すでにいろんな方面では排出権購入が始まっている。
一度、きちんとした議論が必要だ。

ガソリン税に関しては、国が暫定税率を引き上げず、四十七都道
府県が暫定税率相当分の税率で、法定外の地方税をそろって新設
するべきという意見があった。
それならば、暫定税率相当分が地方の一般財源になるし、道路整
備費財源特例法の改正案の再議決も必要なくなったかもしれない。
今回は、時期的にこの方法は難しかったかもしれないが、来年度
の一般財源化のときには使える手法かもしれない。

連休明けには、道路整備費財源特例法改正案が再議決に付される
ことになる。

マスコミのなかにも暫定税率と特定財源の議論が混乱している人
もいて、三十日朝出演したスーパーモーニングでは、司会者が
「暫定税率で造反も辞さずという河野太郎」という紹介の仕方を
する。

暫定税率は京都議定書の目標達成を考えればやむを得ないが、一
般財源化するという総理の発言に関する担保が得られなければ、
道路整備費財源特例法案には造反も辞さずというのが、我々の主
張だ。

我々の主張を正確に伝えてほしい!

(転載ここまで)


そういうわけで、1990年代から(官僚主導は戦前からですが)今まで変わらぬ日本の官僚主導気候変動対策(がなされなかった)様子がおわかりいただけたと思います。


これで、京都議定書の目標を達成できたら奇跡でしょうね~!


長すぎるので、この辺で一度区切ります(続く)

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