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2008年3月14日 (金)

天野屋旅館が取り壊しの危機に!

 1876(明治9)年創業の天野屋旅館(神奈川県湯河原町)が、登録有形文化財にも関わらず、取り壊されそうだという記事を読みました。伊藤博文、夏目漱石、横山大観らが常連客だったそうなので、歴史的建造物として是非保存してほしいものです。ところが、文化庁によれば、国登録有形文化財として維持されているのは6616件あるが、解体を止めることはできないとのこと。

 

 こういう話を聞くと、すぐに欧州と比較したくなるのですが、日本の政治家や官僚は欧州視察によく出掛けて先進事例の情報を山ほど集めてくるのに、なぜこういうことは日本に取り入れないのかと、腹が立つことが多くあります。

 

 ドイツでは17世紀、18世紀に建てられた普通の民家も珍しくありません。入り口のそばの壁には重要文化財として州(連邦制のドイツでは、連邦州の管轄なので)のワッペンがつけてあり、所有者といえども取り壊すことはできず外観を変えずに修復しなければなりません。ドアの高さは私からみても低く思われるほどで、当時のドイツ人は今と違って小柄だったのかしら?と、想像します。白壁に黒や茶色の木組みの独特の建築物がこれほど多く保存されているということは、大工さんたちもその技術をずっと引き継いでいけるということです。

 

日本では、このような文化の伝承がないがしろにされていないでしょうか。ドイツを訪れる日本人の多くが、ドイツの街並みが美しいという感想をもつのは、中世の街並みが多く残されていたり、東京のように空襲で焼け野原になったハンブルクやケルンのような大都市が、できるだけ戦前の街並みや建物を残しながら復興したからではないでしょうか。反面、日本を訪れたドイツ人の多くは「どこの駅で降りても、同じような景観ばかり」と、がっかりしていました。

 

道路拡張工事のために、数十軒も立ち退き取り壊すなど、ドイツでは想像もつきません。70年代に大都市ミュンヘンで道路拡張計画が持ち上がった時、その計画を中止して専用区域にしたら商店街が活性化したという前例を作ったので、ドイツ中の自治体がまねをして専用区域が広まったそうです。

 

ただし、地方分権のドイツでは、都市計画、景観計画、道路計画が総括的に議会(すなわち住民が選んだ政治家)をとおして決定されますが、日本では縦割りの省庁(すなわち住民が選べない官僚)の縄張り争い?のため、横につながらないのでなかなか難しそうです。族議員が運んで?くる補助金も縦割りだし・・・。総括的な都市計画(に限らず、福祉でも廃棄物でも教育でもいえますが)に取り組みたい日本の自治体の長は、縦割りの弊害に悩まされているのが現状のようですから・・・。まずは、縦割りを横につなげる勇気のある政治家を選挙で選ぶことが先決ではないかな~

 

 

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